アルコールが呼ぶ声がする

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兼務でスクラムするっていうバッドケースを経験した

以前もこのブログでとりあげたスクラムの話題。 社内ではあの当時よりさらにスクラムが流行している。CSM取る人が増えてきたり、スクラムをトライアルするチームが増えてきた。 自分は業務上兼務をしていて、その留学先のチームでも外侮からスクラムコーチを招聘してスクラムのいろはを吸収している最中。たしかに素晴らしいメソッドだと思う。思うだけで、自分はメリットを享受していない。「 スクラムのバッドケース 」と言われている状態を現在進行系で進めている中で感じたことを書いてみる。

※以下ネガティブな内容を多々含むが、個人的にはスクラムはいいものだと思っているし、しっかりとした検討とチームタスクをスクラムに合わせていくことができれば、生産性は上がるんだろうとも感じている。そのため「こういうケースもあるぞ」というのを伝えたいだけであり、スクラムを否定するものではないことを書いておく。

前提

自分は本所属しているチームとは別に留学先チームの業務も抱えていて、2チーム兼務している形になっている。ここでは留学先をAチーム、所属をBチームで置き換える。業務配分はAチームとBチームで7:3。5日間で使える時間は週5日の1日8時間の合計40時間として、それぞれ28時間と12時間。Bチームで使っているうちの8時間は作業とベンダ調整に使い、残りの4時間はQ中に進める必要があるタスク進行と差し込み用のバッファ。Aチームの28時間はAチームのメンバーと一緒に各プロダクトで実装。この中にはスクラムイベント一式が含まれる。

スクラムイベント

1スプリントは1週間、5営業日。 火曜日 14:00~17:00 Aチーム全体レビュー&レトロスペクティブ 水曜日 13:00~14:30 Aチームプランニング 2月頃に比べたらだいぶ短くなった。(少し前までプランニングは11:30から15:00頃までやった上に終わらないケースがあった)

3ヶ月回した結果どうなったか

生産性といわれるものが見事に 暴落 、メンタルにきて不眠症再発、業務バランス崩壊した分を取り戻すために長時間労働でさらに体調悪化。

何がやばかったのか

兼務という立場からくる可処分時間の減少 、これに尽きる。 時系列で書くとどう落ちていくかが見えそうなので1-3月までを順に並べてみる。

1月

シンプルに スクラムとはなんじゃろな?な状態 なのでニュートラル。この頃はイニシャルコストだと諦めていた。 この頃はまだ今までの業務バランスを保てていた。

2月

1月中ごまかしながら進めていたBチームとの業務バランスを取ることに苦心し始め、負の感情が芽生え始めたのがこの頃。 スクラムイベントの長さスプリントの短さ作業時間のなさ がしんどかった。1月のように諦めたらそのまま溺死しそうな状況。Aチームでのスクラムイベントはほぼ2日の拘束があり、その間ひたすら会議室にいる。スプリントの短さは作業のなさにも直結してくるんだけど、5日中2日が潰れるということは3日しか作業できないということ。これが精神的にきつく、AチームとBチームの作業比率を考えるとこの時点でAチームには1.5日しか使えない。ここにMTGが入ったりすると何もできない。さらに、この時点でBチームの自分担当で必達とされていたタスクには1月にした準備以外何も手がついていない状態。手を付けられないとも言う。 この時点では業務配分が Aチームスプリントタスク7:Aチーム差し込みタスク1:Bチーム通常タスク1:Bチーム差し込みタスク1 というAチームに8を割いてる状態に変化してた。

3月

初旬はとあるイベントにより1スプリント抜け、その後必達タスクの進捗が赤信号になり、このままでは月末までに挽回できなくなりそうな状況が見えた。必達を落とすのはまずいのでAチームマネージャーとの1on1中に相談して1スプリント抜ける。その時抱えていたタスクはチームメンバーへ移譲。この頃にはAチームのマネージャーに加え、Bチームのマネージャーとの1on1で「スクラムつらいっす」って話をし、slackのtimesで思うがままにつらつら書きながらも、なにかないかともがいていた。スクラムに対してアレルギー的な何かを出しつつもある種吹っ切れて、「それやるの厳しいっすねー」ってことをよく言っていた。チームメンバーには負担を押し付けてしまって申し訳ないと思っていたので、細かい部分は自分がなるべく引き受けて、チームメンバーにはスプリントのタスクに集中してもらおうとしたりで 裏方に徹した 。「これは割と良かったんじゃないか?」と自分では思っている。少し楽になったのもこの頃。3月終盤に「Bチームにもスクラムを」という話を聞いて、「兼務中のスクラム1つでもしんどいのにスクラムも兼務って嘘だろ…」と絶望したところで3月終了。このダブルスクラムの話を聞いてから雑談slackでも相談し始めた。

3ヶ月でわかったこと

中途半端に入ると全員が不幸になる

僅かな光明が見えた?

3月後半のスプリントタスクを担当できないときにやっていた、 PRレビューを一手に引き受ける差し込みを全て拾う 、といったところを自分が一手に受け持ち、 チームメンバーが実装に集中できるように裏方に徹する とスムーズに回るのが何となく見えた。後ろ向きな対応ではあるかもしれないけど、レビューの速度は開発速度にも直結していると思う、思うことにした。ただし、1人分の手がなくなるので手数は足りなくなる。これはどうしようもない。自分がスプリントタスクを担当することによるマイナスよりはマシ、と自分の中で割り切った。 ただ、これがスクラムやってることになるかというときっぱりと「No」という。何も生み出していない、チームにコミットするものがなにもないもの。スクラム動物園での「鶏」に近いのかな。

4月以降

Bチームのスクラムは、蓋を開けたらそこまでガッツリやるわけではなく、各人のタスク量と進捗を測る程度のものだったので、身構える必要はまったくなかった。Aチームは引き続きやっていくため、3月後半に見えた光明をベースに立ち回りをしてみる。ここ最近のスプリントを見る限りは「ある程度スムーズに回るんじゃないか?」と思っているので、「プランニング時に設定するポイントを間違えなければ安定するはず」という仮説を立てているところ。 実コーディングに関わるところもやりたいが、それはまだ余裕がない。なんとなくこのままフェードアウトする予感はしている。


2-3月の可処分時間の激減は本当に堪えた。とにかく時間が捻出できない。時間が捻出できなくて抱えてるタスクが進まない。そのままスプリントが終わる。今振り返ると兼務という立場よりも時間捻出の困難さのほうがつらかったのかもしれない。兼務には兼務で問題が多いのだけど、その問題を凌駕する時間のなさ。 兼務の話はしだすと長くなるのと、兼務はある程度年数経ってる人は誰しも経験したことあるだろうから、今さら自分が書く必要はないと思っている。

ターニングポイントは2月末に起きたイベントで、スプリントを抜けたことで光明が見えたような気がする。 最近は雑談slackの有識者たちにも相談し、なにか知見はないかと状況打開を図っている。現時点では「無理でしょ(要約)」という意見しかない。一番身近な弊社で招聘しているスクラムコーチにも聞いてみたところ「明らかに疲弊していくのでおすすめはしませんし、勧めてくる人がいたら殴っていいですよ」とのこと。本当にこれはいかんのだと思う。実際「その状態はスクラムチームに参加してるの?」と言われると「Noかなー」というのが結論。ただ、個人的には好転しそうな立ち回り手段があるのでそれをベースに動くのはありだと思ってる。